今なぜオーストリッチなのか
1. 草食なので飼育コストが低く、食材として安全性が高い
牛、豚、鶏は穀物を主食としています。しかも、その穀物の90%は輸入されていますから、海外の穀物相場や政策に大きく影響を受けます。しかし、オーストリッチの主食は草ですので、牧草ばかりではなくその他の多くの植物が利用できますから、飼育コストが低く抑えられ、食材としても安全性が高いと言えます。さらに、食肉としてオーストリッチの供給が増えることは、飼料自給率の向上につながり、本当の意味での国産の食肉としてその価値は大きなものになります。
また世界的な人口増大による深刻な食料不足が問題にされる中、人の食物(穀物・とうもろこし、大豆)と競合しない、人間が食べずに破棄したもの(未利用資源)で育つので、将来の食糧危機への備えという意味でも日本の農業に欠かせません。草で育つオーストリッチは、これからの貴重な食材と言えましょう。
2. 高い飼料効率
同じ餌でも鶏とオーストリッチでは利用する程度が違い、一般にオーストリッチは鶏よりも飼料を効率良く利用できます。また牛と比較しても栄養効率は、指数的には10倍と言われています。
3. 環境に与える影響の少なさ
飼料効率が高いと言うことは、消化吸収機能が優れていて、未消化の排泄物が非常に少なく、したがって土壌への負荷も低く、循環型農業に適した畜産と言えます。また羽音だけで、鳴くことがないので、騒音公害も殆どありません。
4. 低カロリー、高タンパク。オーストリッチの肉はヘルシー食品
別表のように、オーストリッチの肉は他の食肉と比較して、とても低カロリーでしかも高タンパクなヘルシー食品です。また、赤肉ですから鉄分をはじめミネラルも豊富です。味は牛肉に似ており、やわらかく、くせのないおいしさです。飛ぶことができないため、足とおしりが発達し、胸肉がないのが特徴です。
肉の種類 | カロリー | たんぱく質 | 脂肪 | 鉄分 | コレステロール |
---|---|---|---|---|---|
オーストリッチ | 97 | 22g | 2g | 2.9mg | 58mg |
鶏肉 | 140 | 27g | 3g | 0.5mg | 73mg |
牛肉 | 240 | 21g | 15g | 2.5mg | 77mg |
豚肉 | 275 | 24g | 19g | 1.2mg | 84mg |
●オーストリッチと他の肉との比較:85グラム(3オンス)中 USDA(米国政府)ホーム&ガーデンズ会報 / 1989年
5. JOCの品種選定(アフリカンブラック種)のガイドライン。
- レッドネック・・・家畜化の歴史が浅い、身体が大きく気性が荒い
- ブルーネック・・・家畜化の歴史が浅い、レッド程ではないが管理が難しい
- アフリカンブラック・・・家畜化された人工種、管理しやすい、生産性データが比較的整っている
※北海道立畜産試験場(JOC北海道支部顧問)大原睦生著『走鳥類の分類(4)』鶏卵肉情報9月号より抜粋
- 管理技術や能力並び生産性データに関して国内で未整備の環境にある産業のスタート段階では、多くの飼養事業者の統一畜種によるデータの集積が重要
- ワシントン条約により取引の規制がある状況から、今後除外対象とされる畜種(人工種)を選定
- JOCでは、他種を選定対象から除外したり畜種として否定しているのではなく、計画的な育種改良や品種の保存等、必要な時期での導入が望ましいと判断