ニューカッスル病(ND)とワクチン接種について
ニューカッスル病を予防するためのオーストリッチ専用のワクチンはありませんが、これまでの研究で、鶏用のワクチンがオーストリッチにも効果的であることが調べられています。わが国においては、ほとんどすべての鶏は、ニューカッスル病生ワクチン(生きている弱毒のウィルス)や不活化ワクチン(強毒ウィルスを殺して作製)を予防接種されることにより、ニューカッスル病にかかりにくく、かかっても症状が出ないように免疫されています。
【オーストリッチのNDワクチンプログラム】
1st Step:生ワクチン
1) 2週齢 ・・・ 点眼
2) 4週齢 ・・・ 点眼
3) 2ヶ月齢 ・・・ 点眼
4) 4ヶ月齢 ・・・ 点眼
5) 7ヶ月齢 ・・・ 点眼
6) 1年齢 以降半年毎 点眼
●ワクチンの正しい使い方
1. 一般的注意
(1) 使用説明書の【用法・用量】を守って使用してください。用量は鶏用の5倍量を適用下さい。
(2) ワクチンの接種前に必ず対象個体の健康状態を観察し、次のいずれかに該当する個体には接種しないで下さい。ただし、対象個体群の緊急予防を目的とした接種の場合は、適否の判断を慎重に行った上で使用して下さい。
(1) 元気・食欲不振、発熱、異常呼吸音、下痢などの病気の兆候のあるもの。
(2) 病気の治療を継続中または治癒後間もないもの。
(3) 他のワクチン接種や移動などによりストレスを受けているもの。
(4) 発育が悪く、明らかに栄養不良状態にあるもの。
2. ワクチン接種の準備
(1) 凍結乾燥生ワクチンは使用直前に溶解(用法に従った希釈率の精製水を加えて)して下さい。
(2) 生ワクチンの外観及び内容に異常を認めたものは使用しないで下さい。
(3) 有効期間が過ぎたものは使用しないで下さい。
(4) ワクチン瓶の開封時には、アルミキャップの切断面で手指を切るおそれがありますので、手袋などを着用して下さい。
(5) 溶解した生ワクチンは点眼容器に移して下さい。
3. ワクチン接種時
(1) 他の薬剤を加えて使用しないで下さい。
(2) 術者や保定者などにワクチンを接種しないように注意して下さい。誤って接種した場合は、医師に記載されている成分表とともに「誤って動物用ワクチンを接種した」と相談し診療を受けて下さい。
(3) 個体を保定(捕獲)し、片目に10滴ずつ点眼して下さい。労力を要しますが確実に規定量が接種できます。
4. ワクチン接種後
(1) 一度開封したワクチンは、速やかに使用して下さい。使い残りのワクチンは、雑菌混入や効力低下のおそれがありますので使用しないで下さい。また、使い残りのワクチンや使用済みのワクチン容器は煮沸消毒または滅菌(焼却等)後に、適切に処分して下さい。
(2) ワクチン接種後、検査機関に抗体検査を依頼し個体及び個体群の免疫状態を把握しておくことが大切です。
(3) 予防接種や抗体検査を行った時は、必ず記録を作成・保管し防疫上の参考にして下さい。
5. ワクチンの保管
(1) ワクチンは遮光して2~5℃に保存し、液状ワクチンは変質するおそれがありますので凍結を避けて下さい。
(2) 乾燥ワクチンの瓶内は真空になっており破裂する危険性がありますので、強い衝撃を与えないで下さい。
(3) 小児の手の届かないところに保管して下さい。
2nd Step:生ワクチン&不活化ワクチン 併用
1) 2週齢 ・・・ 生ワクチン 点眼 鶏の5倍量
2) 4週齢 ・・・ 生ワクチン 点眼 鶏の5倍量
3) 3ヶ月齢 ・・・ 不活化ワクチン 注射 鶏の2倍量
4) 6ヶ月齢 ・・・ 不活化ワクチン 注射 鶏の5倍量
5) 1年齢 以降半年毎 不活化ワクチン 注射 鶏の5倍量
●ワクチンの正しい使い方
1. 生ワクチンの正しい使い方を参考(同様)にして下さい。
2. 不活化ワクチンは、水酸化アルミニウムゲルアジュバントを使用して下さい。
3. 不活化ワクチンの接種は、個体の首の皮下に注射することを推奨します。
4. 食用に出荷するための個体への接種時期は、出荷制限期間(ワクチンを与えてから一定の期間は出荷できない)を考慮して行って下さい。